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過可動性スペクトラム障害(HSD)とは

 

過可動性スペクトラム障害(Hypermobility Spectrum Disorder)について下記のサイトに説明が掲載されています。

https://www.ehlers-danlos.com/what-is-hsd/

https://www.ehlers-danlos.org/what-is-eds/information-on-eds/hypermobile-eds-and-hypermobility-spectrum-disorders/

【Hypermobility Spectrum Disorder (HSD)について】

 

英語圏のエーラス・ダンロス症候群専門団体のサイトに下記のように記載されています。

 

“Hypermobility spectrum disorders (HSD) are connective tissue disorders that cause joint hypermobility, instability, injury, and pain. Other problems such as fatigue, headaches, GI problems, and autonomic dysfunction are often seen as part of HSD.” https://www.ehlers-danlos.com/what-is-hsd/

「 Hypermobility Spectrum Disorder (HSD)は関節の過剰可動性、不安定性、損傷、痛みを引き起こす結合組織疾患です。疲労、頭痛、消化器疾患、自律神経失調などの他の問題も、HSD の一部として見られることがよくあります。」

 

“Since there is not yet a definitive diagnostic test for HSD or for hEDS, there is no way to absolutely differentiate between the two conditions. Some experts believe that HSD and hEDS are in essence the same condition along a spectrum, some are not sure, and others think that HSD and hEDS are separate, distinct conditions.” https://www.ehlers-danlos.com/what-is-hsd/

「関節型/過可動域型エーラス・ダンロス症候群とHSDは未だ確定した診断検査が存在しないため、どちらがどちらであるとはっきり境界線を引けるものではありません。また専門家の中でも両者を同一疾患のスペクトラムの疾患であると信じる方もおり、そうではないと信じる方もいらっしゃいます。」

 

Hypermobility Spectrum Disorder (HSD)は「ハイパーモビリティスペクトラム障害」「過剰運動スペクトラム症候群」などと日本語に訳されていることもありますが、当団体としては「過可動性スペクトラム障害」が一番しっくりきたため、この翻訳を使用しました。

現段階では正式な日本語訳を発見することはできませんでした。

下記に当団体からの説明を加えます。

 

過可動性スペクトラム障害(Hypermobility Spectrum Disorder)はエーラス・ダンロス症候群である可能性が非常に高いもののエーラス・ダンロス症候群の基準未満となってしまう患者さんの診断名です。

「準エーラス・ダンロス症候群」のような診断名です。

どんな疾患でも、同一疾患の患者様の症状に差があるものです。

 

例えば、新型コロナウイルス感染症の患者様の場合、下記の症状を呈するグループが存在します。

・重症例→入院して人工呼吸器をつけて、亡くなってしまう/肺に後遺症が一生涯残ってしまう。

・軽症例→ちょっと喉が痛いくらいの症状、それ以上何も症状がない。

もしも、新型コロナウイルスに関する研究が進んでいない場合、PCR検査ができない場合、上記の重症例と軽症例の二つの症例は別の疾患であると捉えられていたと思います。

しかし、現在は研究が進んでいるため、上記二つの症例は同一疾患であることが知られています。

以前、交流会に参加されていた患者様が「過可動性スペクトラム障害(Hypermobility Spectrum Syndrome)は研究者の方がエーラス・ダンロス症候群の発症遺伝子を発見するための研究をする目的で、エーラス・ダンロス症候群であると信じられている症状が強く出ているグループとそうではないグループを分けるためにエーラス・ダンロス症候群の可能性があるものの症状が軽度のグループを過可動性スペクトラム障害(Hypermobility Spectrum Syndrome)と名付けてカテゴライズしたために、過可動性スペクトラム障害(Hypermobility Spectrum Syndrome)の概念が誕生した。」という趣旨のお話をされていたことがありますが、この件について引用文献を見つけることができなかったため、そういう可能性があるということに留めておきます。

もしも、PCR検査ができない状況でウイルスという概念すらも存在しない時代に

・重症例→入院して人工呼吸器をつけて、亡くなってしまう/肺に後遺症が一生涯残ってしまう。

・軽症例→ちょっと喉が痛いくらいの症状、それ以上何も症状が出ない。

の二つの症例を分けて、研究したとならば、重症例には新型コロナウイルス感染症の患者さんが多く含まれ、軽症例には普通の風邪や花粉症などその他の別の疾患が多く含まれてしまうことは想像に難くないと思います。

過可動性スペクトラム障害(Hypermobility Spectrum Syndrome)について

こちらのサイトに記載の通りhttps://www.ehlers-danlos.com/what-is-hsd/

医療関係者の中でもエーラス・ダンロス症候群と同一疾患のスペクトラムの疾患であると信じる方もおり、そうではないと信じる方もいらっしゃいます。


現段階ではこの件に関して誰も結論を見出すことはできません。

現在、例えば、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザと風邪は表面上の症状ではどれがどれであるのか見分けがつかないものです。研究で明らかになっていない段階では熱と咳と喉の痛みなどの一連の症状を呈する症状の患者さんが表面上の症状で一度一つのグループに括られてしまうのは仕方がないと思います。

今現在エーラス・ダンロス症候群の診断基準を満たし、エーラス・ダンロス症候群であると信じられているグループの全員が本当にエーラス・ダンロス症候群という定義で括られる同一の疾患である保証はありません。

例えば、重症肺炎の症状を呈する患者さんの全員が新型コロナウイルス感染症ではないことが知られています。重症肺炎の原因は新型コロナウイルス感染症ではなく誤飲性肺炎の可能性もあるのです。普通の風邪が肺炎を引き起こすこともあります。

従って、当団体もエーラス・ダンロス症候群の併発症状を多く呈しているものの現在の診断基準上で診断基準未満となってしまうからといって過可動性スペクトラム障害を支援から排除する意味もないと考えています。

研究が進んだときに個別のグループに関して徐々に原因が発見されるものであると思います。

エーラス・ダンロス症候群と過可動性スペクトラム障害の境目の基準に関して

こちらのサイトに記載の通りhttps://www.ehlers-danlos.com/what-is-hsd/

明確な基準はなく、基準に関して様々な説があり、医療関係者の解釈によって異なるものです。

当団体はエーラス・ダンロス症候群並びに過可動性スペクトラム障害(Hypermobility Spectrum Syndrome)の患者様も支援対象としています。

ちなみに患者コミュニティあるある事件ですが、一部の重症例の患者さんが軽症例の患者さんと同じ病名で括られていることを不快に思い、同一疾患の重症例の患者さんに軽症例の患者さんが中傷されたり、争い事に発展してしまうことがあります。

これに似ていることは当団体(過眠症コミュニティ)でも経験がありますし、過眠症やエーラス・ダンロス症候群以外の疾患の患者コミュニティでも同様のことが起きています。

もしも、新型コロナに感染して入院して人工呼吸器で生死をさまよい数年後の今も重い後遺症が残っている患者さんがちょっと喉が痛いくらいで37度くらいの熱でそれ以上の症状がない軽症例の患者さんと患者会などで交流する機会があった場合に「違う病気だ!」「こっちが本物だ!」「同じ病名を名乗るな!」と思ってしまうでしょう。

特殊学級に通って生活の全てに支援が必要な発達障害ADHDの患者さんのお母さんが国立大を卒業して自立して生活している発達障害ADHDの患者さんのお母さんと同じ患者会に所属して同じレベルで相談に乗られても困ってしまうことだと思います。
 

当団体も現在エーラス・ダンロス症候群の診断を受けている(いわゆる「本家」と思われる方達)から「違う病気!」「同じ病名を名乗るな!」という圧力がかけられることがあるので「過可動性スペクトラム障害(HSD)」を名乗ろうとも考えています。

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